井の中の蛙大海を知りたくないのに
無理やり知らされる
蛙は誰よりも高く飛ぼうと思って頑張った
でも頑張れば頑張るほど
蜂は気に入らない
ある時蛙は外に出そうになるぐらい高く飛んだ
そこを蜂がぷすりと刺した
蛙は刺された毒で何ヶ月も身動きが取れなかった
身体中が腫れ上がり生死の縁をさまよった
このまま死んでしまえばいいと
何度も思ったが
蛙は可愛いおたまじゃくしのために立ち上がる事を決意する
ニホンミツバチはこれまでの小さな古い草花の野原から
大きな一輪の花が大量に咲いている10倍のハチミツが取れる公園の魅力に魅せられてしまった
そこにいる新手の蜂に飲まれないように
自分達のハチミツが取れるように必死だ
そこには公園のルールがあって
ニホンミツバチは自分たちのルールよりも
公園のルールに翻弄される
公園の蜜はこれまでよりもたくさんとれる
味わったことがないほどたくさんとれる
ニホンミツバチは公園にいたいがために
自らの誇りを捨てなくてはならなくなった
それを知らない蛙は
ハチミツが取れないようにと
公園の花に噛み付いてみる
すると
一度刺した蜂がやってきて
公園であなたが暴れると
同じ野原から来たものとして
私達は追い出される
どうか暴れるなという
蛙は蜂に耳など貸さない
古傷が痛むだけだと
花を荒らし続ける
蜂はもはや古い野原では
生計が成り立たない自分の巣について話す
蛙もおたまじゃくしのために立ち上がっている
蜂も我が子が可愛い
子を思う親の気持ちは
いずれも同じだと遠くで誰かが優しく諭すように
語りかける
蛙にハチミツはいらないけれど
多少の餌が必要なことは
生き物の定め
公園は蛙には水分が少なすぎる
蜂と蛙は
同じ生き物ではない
ただ同じように生きているだけ
蛙は蜂に別れを告げ
井の中から出てしまった蛙は
知りたくもない公園での出来事を知ってしまった
自分は何のために高く飛びたかったのだろうと思う
もはや後戻りができなくなった蛙は
水辺を求めて海に出る
井の中の蛙に大海はいらなかった
井の中の蛙は井の中で幸せなのかもしれない